2店舗目を出店する経営者が知っておくべき!~10店舗を経営するときに使えるリスク管理の方法
飲食店や美容室、ネイルサロン、歯科医院を経営しているなら、2店舗目を視野に入れている経営者がほとんどです。
「近所のお店のオーナーは何店舗も出店していて調子がいいなー」なんて隣の芝が青く見えても、実は倒産リスクと隣り合わせ…!?なんてことがあるのが実際のところ。
ご相談に来るオーナーさんの中でも、お店はいっぱい経営しているけどお金がない!というお悩みはとても多いのです。
今回は、店舗を増やしたい経営者が知っておくべきリスク、10店舗目までの管理方法をお伝えします。
目次
多店舗展開するときの事業リスク
売上が複数の店舗からあがる多店舗展開。
1店舗の売上に依存しなくてよくなればリスクが減る!というのは安定経営への第一歩ですが、それと同じくらい資金繰りのリスクが上がることは忘れてはいけません。
すでに複数の店舗を経営していて、「なんだか手元の資金が増えないな…」と思っているならそれは黄色信号かもしれません。
新規店舗開業に伴う初期費用
新規店舗を開業するためには、店舗の賃貸契約や内装工事、広告宣伝費など、多額の初期費用が必要となります。
効率的に事業資金を活用するためにも、融資を受けることが一般的です。
ポイントは、支出のタイミングと売上利益があがるタイミングが一緒ではないこと。
初期費用として投資した金額は、数年にわたって売上利益から回収していくイメージとなります。
店舗運営コストの増大による管理の必要性
複数の店舗を運営するためには、人件費や電気・水道料金、賃料などの店舗運営コストが増大します。
新規出店した店舗の売上で経費がまかなえていれば問題ありませんが、軌道に乗るまでは赤字となることもめずらしくありません。
店舗ごとの採算をきちんと確認できるようにして経営判断へ活かしましょう。
人件費の増加
多店舗展開すると、それぞれの店舗にスタッフを雇う必要があります。
基本的に人件費は固定費と呼ばれ、売上が多くても少なくても固定的に発生します。
また、スタッフのトレーニングや管理にも時間と費用がかかるため、人件費の増加による経営負担もあります。
統制の困難さへの対応
多店舗展開すると、オーナーの目がいき届かなくなり統制が困難になる場合があります。
各店舗の経営状況や在庫管理、スタッフのトレーニング状況など、すべてを把握することは難しいかもしれませんが、オーナー自身が各店舗を巡回して確認することで、各店長との認識を摺り合わせることができます。
また、「売上金がなくなった」ということは珍しくありません。
お店を任せる店長のコミュニケーションだけではなく、不正が起こりにくい仕組み作りも大切になります。
新規出店を考えたら、まず始めること
こんなお店がやってみたい!というのはきっと頭の中にもうあるはず!
2つ隣の駅は立地が良さそうだ…ターゲットを少し変えてこんなコンセントが受けそうだ!なんてワクワクしながら描いているのではないでしょうか?
それを実現するために必要な、財務や管理の面で必要な、足元を固めるために必要なポイントをお伝えします。
事業計画の策定
新規開業する店舗で、どんな商品をどれくらいの人数のお客さんに売るのかをイメージしながら事業計画を作ります。
出店する地域ではどんなお客さんが来るだろうか?内装のイメージやコンセプトなどを決めておくと、集客しやすくなるだけではなく、店舗経営がうまくいかなくなったときも次の一手を考えることに役立ちます。
資金計画の作成
事業計画に合わせて、どれくらいの融資を申し込むかを決定します。
資金計画に無理があれば、事業計画を見直します。
クレジットカード払いや請求書払いなどの掛け払いは、売り上げた日から入金されるまで期間があくので、その間の支出がカバーできる資金計画を策定する必要があります。
売上管理・経理体制の見直し
事業リスクを減らすために、店舗ごとの採算を確認できる体制を構築しなくてはなりません。
仕入先の請求書が店舗ごとで分かれていない場合は、店舗ごとに請求を分けてもらう必要があります。
売上金は、いつ誰がどこに入金するのか、入金された金額は誰がどのタイミングでチェックをするのかなど、細かく作業手順を決めておくと、後から売上金の入金がたりなかった!と焦るリスクが減らせます。
また、資金の流れを整えておくことで、融資が受けやすい試算表となる効果が期待できます。
5店舗目までは現場の店舗運営を軸にする
勢いに乗って店舗をどんどん増やしている経営者も、5店舗目までは、開業当初から使っているどんぶんり勘定を活かしている方が多くいらっしゃいます。
このタイミングでは、お店を任せられる人材をどんどん育てて、現場第一で動かれるオーナーが多い印象です。
店舗ごとに違うPOSを使っていても、帳簿が手書きでも、税理士さんがちゃんと記帳してくれます。
しかし、店舗ごとの採算が試算表に正しく反映されているかは別問題。
「店長がよくいる店舗だけやたら経費が多い…」というのはよく聞く話。
このタイミングで、店舗ごとの採算を正しく判断できていると、次の出店のプランも練りやすくなります。
また、そろそろ税理士さんが記帳するには取引件数が多く、社内に経理を入れる予定は?なんて聞かれるタイミングでもあります。
社内に経理がいると、タイムリーに各店舗の状況を把握することができます。
事務所があって、場所に余裕があるなら、経理フローの構築と同時に経理ポジションを用意することもおすすめです。
10店舗目までは管理体制構築の期間と心得る
5店舗を超えると、それまで奥様に任せていた事務作業が、なんだか手に負えなくなってきたと感じるころです。
手書きの帳簿や、オリジナルの管理方法では限界を感じてきたり、1か月分の試算表ができるまで時間がかかって経営判断に活かせないというお悩みが多くでてきます。
そこで、いきなりクラウド会計を導入するというのは実は危険。
クラウド会計でカバーできるのは、あくまでデータになってからの処理の部分。
実際お客さんから受け取った現金はどうするか、スキャンや入力が従業員の人員や余力に対して負担になっていないかなど、クラウド部分以外の業務フローも一緒に整えなくては、会社も従業員も息切れしてしまいます。
10店舗まで増えてくると、不採算店舗を閉店することも出てくるタイミング。
不採算店舗があっても、会社全体は成長し続ける仕組みづくりを作ることでさらなる成長が目指せます。
多店舗展開のポイントは2つ!
大きく事業を拡大できる多店舗展開。
ポイントは
・資金繰り
・管理体制
の2つです。
中小企業向けのアドバイザーが少ない分野ではありますが、ここをしっかり構築できると50店舗展開も夢ではありません!
資金は、企業の血液です。
企業は赤字になっても倒産はしませんが、お金がなくなると黒字でも倒産してしまいます。
常に、次の一手を考えることが必要な「経営」だからこそ、足元の資金計画を固めてビジネスを楽しみましょう!
関わった企業は絶対に倒産させたくないをモットーに、中小企業・オーナー企業を支援。
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